こんにちは。つくもです。
以前の記事で
着物への関心が高まっているのではないか?
と書きました。
しかし現在のトレンドと大きくかけ離れていては着物を着る人は増えてこないと思うわけです。
そこで今回のテーマは
洋服のトレンドに着物はマッチするのか?
です。
「着姿を街に増やしたい!けど洋服のトレンドは考えたことないな」という方や
「着物に興味はあるけど、着ている人少ないし…」
なんて思う方に是非読んでいただきたいです。
現在の3大トレンド「装飾性」「ドレスアップ」「サステイナブル」
着物の話をする前に、洋服の現在のトレンドを見てみましょう。
以下の記事に2020awのトレンド予測が紹介されています。
もちろんこうした装いがいきなり町中にあふれるわけではありません。
しかしこうしたブランドから発信された情報が評価され、徐々にマスに降りてくるわけですから、今後流行するものと見て間違いないわけです。
さて、洋服のトレンドを大きく分ければこの3つではないでしょうか。
- 装飾性
- ドレスアップ
- サステイナブル
「装飾性」「ドレスアップ」については上記の記事からも見て取れますね。
「サステイナブル」は見た目ではわかりにくいかもしれませんが、世界的に広がっている大きなトレンドです。
一つづつ見ていきましょう。
装飾性
ここ数年の数年の傾向として、シンプルなものから装飾性のあるものへとトレンドが移行してきています。
上の画像のように、素材なら凹凸のあるボアやコーデュロイ、柄で言えばタイダイ(絞り染め)やチェック柄、ほかにも透け感のある素材やベストを使った重ね着でアイテム数を増やすコーディネートを多く見かけませんか?
これは2014年から流行していた「ノームコア(Normcore)」的なファッションからの変化です。
ノームコアとは「違いや」「真正性」を追求するのではなく、クールであるための新しい方法として意図的に同じであることを受け入れるという態度を表す言葉です。
この考え方がファッションに取り入れられ、究極の普通を目指したシンプルな装いが流行しました。
この時代の象徴的な人物といえばSteve Jobs。
思えばスマートフォンの普及やミニマリズムの流行もノームコアの流れだったのかもしれませんね。
このノームコア的なシンプルなファッションがマスに浸透したため、差別化のために徐々に装飾的な服装が流行してきているというわけです。
今はまだシンプルな装いに+αという感じですが、少しづつ派手な服装が見られるようになると予想できます。
ドレスアップ
もう一つのトレンドは「ドレスアップ」。大人っぽい落ち着いた印象のものがトレンドのようです。
長らく続いていたアメカジやストリートのようなカジュアルな装いから、少しずつ変化してきました。
街中でもスラックスを履く人が増えてきましたし、GUなどのファストファッションでセットアップが見られるようになりましたね。
「装飾」のトレンドと矛盾していないか?と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
素材やシルエット、重ね着、小物などで大人っぽくも装飾性のある着こなしがトレンドとなっています。
ストリートの装いが急激に無くなるわけではありませんが、じわじわとドレスライクな装いが増えてきそうです。
サステイナブル
サステイナブルとは、「持続可能な」という意味の言葉。
地球環境を維持し、未来に向けて継続的に発展していこう、という考え方が近年のファッショントレンドに強く表れています。
実はアパレル業界は石油業界に次いで2番目に環境汚染に影響を与えているとも言われいます。
ZARAやH&Mのようなファストファッションの流行も影響し、衣類の大量生産・大量消費だけでなく、在庫の「大量廃棄」の問題も抱えているから。
新しくつくられた新品の衣服が在庫として残り、誰の手にもわたらないまま焼却処分されることも少なくないようです。
こうした実状を受け、「サステイナブル」を意識した取り組みは年々増えてきています。
詳しい取り組みについては以下の記事がおすすめ。
このトレンド…「着物」は満たしてます!
ここまで解説した通り、現在の洋服の大きなトレンドは以下の3つです。
- 装飾性
- ドレスアップ
- サステイナブル
この目線で着物の特徴を見てみると…満たしていると思いませんか?
着物と装飾性
着物の装飾といえば真っ先に思いつくのは、振袖や訪問着などの絵羽模様でしょうか。
世界の衣装を見れば各国装飾性の高いものが見受けられますが、一枚の衣服をキャンパスのように見立てて描かれる絵羽模様は世界的にみても珍しいと思います。
もちろん絵羽模様だけでなく、歴史の中で様々な文様が描き出されてきていますよね。
派手で豪華なものだけでなく、遠くから見れば無地…?と思える江戸小紋など、感性に合った装飾を身に纏うことができます。
それだけではありません。洋服の視点から見れば、着物の直線的な裁ち・仕立ては珍しいです。
つまり、着物を着るだけでシルエットで差別化ができてしまうわけです。
以上のことから、着物は「装飾性」のトレンドを満たしうると思っています。
着物とドレスアップ
ドレスアップのトレンドは礼服に使われるスーツのような大人っぽい服装を日常に落とし込むというものです。
これについてはまさに!という感じではないでしょうか。
もちろん日本人限定にはなりますが、着物は「ハレの日」に着る衣服という印象が強く残っています。
礼服として使われている印象は強いですが、日常着としての広がりも見せています。
その流れの中で楽しむ人が増えてきているのが和洋ミックスの着こなしではないでしょうか。
これは洋服で例えると、セットアップを着ているけれど、ジャケットの下にはTシャツ、足元にはスニーカーといった崩した着こなしに近いのかもしれません。
こうした自由な着こなしが「おしゃれ」として受け入れられれば、国内のトレンドとしてマスに広がる日も来るでしょう。
着物とサステイナブル
個人的には「着物」と「サステイナブル」の関係が最も重要で、世界に誇るものだと考えています。
仕立ての時点での着物の最大の特徴は直線的な裁ち。
体に合わせて立体的に作られる洋服と異なり、着物は反物の直線を生かした平面的な形をしています。
そのため裁断によって出る無駄が非常に少なく、反物の効率的な利用が可能なのです。
縫い目をほどけば長方形の状態に戻すことができ、仕立て直しや別の製品への作り変えも簡単にすることができます。
(参考:和服における無駄のない構造を基にしたサスティナブルファッションデザイン)
そのため皆が着物を着ていた江戸時代には、無駄の少ない循環が出来上がっていたようです。
この要素は着物を語るうえで非常に重要なものでしょう。
このような素晴らしい文化が国内にあるわけですから、これを見直して、新たな形で広まっていってほしいと思います。
まとめ
現在の洋服の3大トレンド「装飾性」「ドレスアップ」「サステイナブル」から着物の可能性を考えました。
着物は「装飾性に優れ」「礼服に使われ」「無駄の少ない」衣服であることから、流行してくる可能性は十分にあると考えられます。
着物を着物の視点だけで見るのではなく、洋服の視点からもとらえることで少しでも発展の助力になればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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